先日、消費税の確定申告をしてきたのですが、還付された金額が驚愕の数字となっておりました。
消費税は払うだけではなく、戻ってくる場合もあるのです。
消費税還付とは?
消費税課税事業者の場合、太陽光発電の売電収入に対する消費税を払う必要があります。消費税の計算の方法は、売上に含まれている消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて計算します。
売上に含まれている消費税 - 仕入れや経費で支払った消費税 = 消費税額
売上に含まれている消費税の方が多ければ消費税額はプラスになりますが、仕入れや経費で支払った消費税の方が多ければ消費税額はマイナスになるのです。
つまり、マイナスの場合は消費税が戻ってくるのです。
普通は、売上に含まれる消費税のほうが多いのですが、多額の設備投資等により支払った消費税のほうが多い場合があります。太陽光発電事業の場合は、最初に発電設備を購入するときがこれにあたります。低圧物件でも2,000万円弱の取得費用がかかります。
仮に取得費用1,800万円、年間の売電金額180万円としてざっくり計算するとこうなります。
売上に含まれている消費税18万円 - 仕入れや経費で支払った消費税180万円 = 消費税額▲162万円
なんと、162万円も戻ってくることになります!
知っていれば還付を受けるのが当たり前なのですが、知らない人が意外にも多いようなのです。
消費税還付を受ける条件
消費税還付を受けるには消費税課税事業者になることと、インボイスに登録する必要があります。
消費税課税事業者とは
基準期間の売上高が1千万円を超えている
※ 基準期間(個人事業主は前々年、法人は原則前々事業年度)
売上高が1千万円を超えていれば、強制的に課税事業者となります。
消費税免税事業者とは
基準期間の売上高が1千万円以下
※ 基準期間(個人事業主は前々年、法人は原則前々事業年度)
売上高が1千万円以下であれば、免税事業者となります。しかし、売上高が1千万円以下でも課税事業者になる方法があるのです。
それは「消費税課税事業者届出書」を税務署に提出することです。「消費税課税事業者届出書」を税務署に提出すれば、売上高が1千万円以下でも課税事業者になることができるのです。
支払う消費税の方が多ければ、わざわざ課税事業者になる必要はまったくないのですが、今回のように戻ってくる消費税のほうが多いのであれば課税事業者になったほうが良いというわけです。
課税事業者になったあとでも「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出すれば、免税事業者に戻ることはできます。ただし注意していただきたいのは、一度課税事業者になると3年間は免税事業者には戻れないということです。
太陽光発電事業の場合、一般的には3年間課税事業者であったとしても還付される消費税のほうが多いのでメリットは大きいといえます。
インボイスとは?
インボイスとは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
インボイス制度は、2023年10月1日から新たに導入された制度で、正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれます。
インボイス制度における「インボイス」には、以下の要件があります。
- 取引の当事者である課税事業者が発行する書類であること
- 取引の年月日、取引内容、取引金額、適用税率、消費税額等の記載があること
- 取引の当事者である課税事業者の登録番号が記載されていること
インボイス制度においては、売手は取引先である課税事業者から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。
インボイス制度の導入により、以下の効果が期待されています。
- 消費税の仕入税額控除の適正化
- 課税事業者の事務負担の軽減
- 消費税の納税の公平性向上
インボイス制度の導入に伴い、課税事業者は以下の対応が必要です。
- インボイス発行事業者の登録
- インボイスの交付
- インボイスの保存
なお、免税事業者からの仕入れについては、制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除が認められています。
まとめ
- 消費税還付を受けることで多額の現金が戻る可能性がある
- 消費税還付を受けるには消費税課税事業者になることと、インボイスに登録する必要がある
消費税には、売上に含まれている消費税と仕入れや経費で支払った消費税があることが理解いただけたかと思います。
このことは太陽光発電事業以外でも重要な点であり、設備投資等により消費税の支払いが大きくなった場合は消費税還付がないか注意しましょう。
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